南アルプスあぷとライン(大井川鐵道井川線)

南アルプスあぷとライン(大井川鐵道井川線)

静岡県榛原郡川根本町の千頭駅から静岡市葵区の井川駅までの25.5kmを1時間50分で結ぶトロッコ列車。正式名は大井川鐵道井川線で、日本で唯一のアプト式鉄道(ラック式鉄道)。大井川の電源開発のダム建設の際に物資輸送に築かれた鉄道が観光向けに転用されたもの。

アプトいちしろ~長島ダム間は日本で唯一のアプト式

もともとは大井川水系、寸又川水系の発電所を建設するにあたって富士電力、大井川電力(ともに現在の中部電力)が敷設した工事用の鉄道が前身(現在も鉄道資産は中部電力が保有)。
井川ダム(昭和32年完成)の建設が決定し、昭和29年に井川駅、堂平駅(井川駅の先)まで延伸され、昭和34年8月1日、中部電力専用鉄道を大井川鉄道が引き継ぎ、旅客輸送を開始しています。

昭和57年に、一部区間では国内唯一のアプト式が採用され(平成2年完成)、鉄道日本一の急勾配1000分の90を登っています。
アプト式区間はアプトいちしろ~長島ダムの間のみ。
それでも本来が電源開発用の鉄道のため、奥大井湖上駅など駅の半数がいわゆる秘境駅。
井川本村(井川ダム建設で旧井川村の3分の1が水没)への足ということもあり、赤字額は中部電力が負担しています。

軌間は、昭和10年の開業当時は762mmのナローゲージ(特殊狭軌)でしたが、昭和11年に1067mm(狭軌)に改軌しています(トンネルなどの関係で、車両はナローゲージに近い感じです)。
また、昭和46年4月1日に、井川駅〜堂平駅間を休止し、休止線のまま(線路があります)井川湖畔遊歩道に活用。

紅葉の名所である関の沢橋梁(せきのさわきょうりょう/尾盛駅~閑蔵駅の間)は、川底からの高さは70.8mで、日本一高い鉄道橋です。

車利用の場合は千頭駅には駐車場がないため、新金谷駅近くの駐車場に車を入れ、千頭駅まで大井川鐵道を利用するのが一般的。

新金谷駅から千頭駅のマイカー陸送を利用するのも手です。
陸送は大鉄タクシー金谷営業所に申し込みを。

南アルプスあぷとライン(大井川鐵道井川線)
名称 南アルプスあぷとライン(大井川鐵道井川線)/みなみあるぷすあぷとらいん(おおいがわてつどういかわせん)
所在地 静岡県榛原郡川根本町千頭〜静岡市葵区井川
関連HP 大井川鐵道公式ホームページ
問い合わせ 大井川鐵道南アルプスアプトセンター TEL:0547-59-2137/FAX0547-59-2143
掲載の内容は取材時のものです。最新の情報をご確認の上、おでかけ下さい。
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