静岡・山梨県境、富士川を見下ろす567.4mの頂が白鳥山(しろとりやま・しらとりやま)。「山梨百名山の中で一番低い山」といわれていますが、登山の場合は身延線芝川駅(静岡県富士宮市)が登山口。山頂一帯は森林公園になっていて、富士山の絶景、日の出、夕景、夜景が楽しめる場所として「恋人の聖地」にも登録されています。
富士山全景の山麓から駿河湾までを一望に
山梨百名山に登録されているのは、山梨県側の国道52号・「隨縁カントリークラブセンチュリー富士コース」からなら山頂まで徒歩10分の場所まで車で入れるため。山名は静岡百山では「しろとりやま」、山梨百名山では「しらとりやま」になっています。
富士山をはじめ、南には駿河湾、北には富士川、御坂山系、天子山塊、南アルプスの山々が一望で、「関東の富士見100景」(国土交通省関東地方整備局)にも選定されています。
現地看板に、「富士山全景の山麓から駿河湾までを見下ろすことのできる全国屈指の場所」とあるとおり、富士はもちろん、南アルプス方面から駿河湾まで広がるワイドなパノラマが自慢です。
戦国時代には信玄の駿河侵攻の拠点となった砦が築かれた!
この眺望の良さを智将・武田信玄が放っておくはずもなく、『甲斐国志』(1814年)によれば、永禄12年(1569年)の駿河侵攻の際、白鳥山に「物見を架して」(駿州攻撃ノ時此ノ山ニ物見ヲ架ス/『甲斐国志』)います。
山中には陣場、鞍掛、太鼓打場、千駄窪などの地名が残され、物見台というより、実態は戦略拠点だったことがよくわかります。
そのため、現在では「白鳥山砦」と通称されています。
物見台は通信手段としては狼煙(のろし)を用いており、駿河の情勢を白鳥山を起点として、府中(甲府市)つつじヶ崎の居館(現・武田神社)まで狼煙で情報を伝達していました。
『駿国雑誌』(1841年)によれば、「庵原郡内房村ニアリ、今廃セリ(中略)今猶城跡有リ」と記され、廃城となった白鳥山城が記されています。
戦後しばらくまで、巡らされた土塁が現存していたとのことですが、いまでは判然としなくなっています。
静岡県側で「しろとりやま」という名前なのは、今川、武田、徳川と砦の主が変わったからともいわれています。日本武尊(やまとたけるのみこと)が東征の帰りにこの地で亡くなった、あるいは化身といわれる白鳥がこの山に住みついたなど山名の由来は定かでありません。
登山の場合には新稲子川温泉ユートリオ(食処湯楽里)を利用すれば、稲子駅または登山口までの送迎も可能(新稲子川温泉ユートリオに相談を)。
白鳥山 | |
名称 | 白鳥山/しろとりやま・しらとりやま |
所在地 | 静岡県富士宮市芝川・山梨県南巨摩郡南部町万沢 |
電車・バスで | JR身延線十島駅からタクシーで15分、徒歩10分で頂上。または、JR芝川駅から徒歩2時間 |
ドライブで | 新東名高速道路新清水ICから約12km。白鳥山森林公園駐車場から、徒歩10分で頂上 |
駐車場 | 白鳥山森林公園駐車場を利用 |
問い合わせ | 富士宮市観光協会 TEL:0544-27-5240 |
掲載の内容は取材時のものです、最新の情報をご確認の上、おでかけ下さい。 |