静岡県熱海市が2024年に行なったアンケートでは、市民のおよそ8割が渋滞対策が不満だと回答するほど、渋滞問題が悩ましい熱海市。観光客は300万人を超え、テレビなどでもオーバーツーリズム問題がたにたび報道されています。実は訪日外国人は意外に少なく、首都圏からの観光客が多いのが特徴です。
熱海に宿泊する訪日外国人観光客は全体の5%

東海道新幹線の開業、そして東京オリンピック開催を契機に一大温泉地へと発展した熱海。
その後、一時は閑古鳥が鳴き、大型のホテルが倒産といった危機的な状況もありましたが、今では関東周辺では勝ち組といわれる人気観光地に。
とくに昭和レトロなども売りにして、若い女性の姿が目立つのも特徴です。
長年実施の花火大会などもあり、温泉リゾートとしての色彩も強化されつつありますが、実は、訪日外国人の数はあまり多くありません。
2024年度の宿泊客数306万人のうち外国人は15万人ほどと見られ、5%程度にすぎません。
熱海市では2025年4月に宿泊税もスタートさせ、毎月5000万円程度の税収が見込まれています。
観光政策の司令塔を担う観光地域づくり法人「熱海観光局」は、海外への認知度アップを重視し、今後は10%程度まで高める方針を打ち出しています。
2025年8月22日に行なわれた「第1回 熱海市観光戦略会議」でも、出席の各委員から熱海最大の強みは「首都圏への近さ」と「交通利便性」であること、弱点は「日帰り客が多く、宿泊客を増やしづらい」ことを挙げています。
ライバルでもある草津温泉、箱根温泉に比べて宿泊滞在の数が少ないのが悩みで、その意味からもインバウンドを増やす方向性が話題になっています。
ただし、旅館やホテルでは人手不足、また公共交通機関ではバスの運転手不足もあり、簡単に増やせばいいという問題でもありません。
慢性的な道路渋滞によるバスの遅延は、観光客だけでなく、市民生活にも影響が大きいのですが、道路事情の悪い熱海では簡単には解決できない問題です。
家康をはじめとした徳川幕府歴代将軍に愛された歴史ある熱海。
一見すると勝ち組にも思われる熱海ですが、目下、大きな転換期に立っていて、「有名温泉リゾート」による壮大な実証実験が行なわれていると考えることもできるのです。

| オーバーツーリズムで悩む熱海、実は訪日外国人は少ない!? | |
| 掲載の内容は取材時のものです。最新の情報をご確認の上、おでかけ下さい。 | 



 
	        		             
	        		             
	        		             
	        		             
	        		             
	        		             
	        		             
	        		            




