静岡県賀茂郡松崎町の岩科にある明治13年に建てられた静岡県最古の木造校舎で、国の重要文化財に指定されているのが、重要文化財岩科学校。正面玄関に掲げられてある「岩科学校」の扁額は、時の太政大臣・三条実美(さんじょうさねとみ)の書です。
なまこ壁に洋風のバルコニーがよく似合う


扁額の上の見事な龍の彫刻は入江長八が棟梁から鑿(のみ)を借りて彫ったと伝えられているので彫刻もお見逃しなく。
基本的には瓦屋根となまこ壁の和風建築ですが、2階には白いバルコニーが張り出しており、洋風建築の様式も取り入れた独特の造り。
設計は、岩科村大工棟梁・高木久五郎、旧岩科役場にも関わった地元の棟梁・菊地丑太郎。
岩科学校の建築にあたり当時の戸長・佐藤源吉は、高木久五郎、菊地丑太郎の2人を、三島学校、沼津学校といった洋風の学校建築へ派遣し、建築様式を調べさせてもいて、当時、地元の大工が苦心しながら、その技術を結集し、和洋折衷建築を建てたことがよくわかります。
当時の松崎は養蚕など繁栄し実に豊かだったのです(明治・大正期に静岡県内有数の養蚕・製糸業の拠点となり、財を活かして高価な漆喰を使いなまこ壁が築かれました)。
岩科学校も、総工費2630円66銭3厘のうち、4割余りが寄付金によるものでした。
2階の「鶴の間」は、入江長八が欄間に描いた千羽鶴の鏝絵(こてえ)が残る、元裁縫室。
当時の授業風景を再現した教室や農機具の展示室もあり、明治時代にタイムスリップできる仕組みです。
また、明治8年、岩科商社として建てられ、その後役場として使われた建物を移築復元した「岩科特産館・開化亭」では、名物のさくら葉餅などで休憩も。
玄関天井や旧西座敷の天井に描かれた漆喰鏝江は入江長八の高弟佐藤甚三が制作したものです。
ちなみに松本市にある国宝旧開智学校(明治8年築)と重要文化財岩科学校は、姉妹館提携があります。

重要文化財岩科学校 | |
名称 | 重要文化財岩科学校/じゅうようぶんかざいいわしながっこう |
所在地 | 静岡県賀茂郡松崎町岩科北側442 |
関連HP | 松崎町観光協会公式ホームページ |
電車・バスで | 伊豆急行線蓮台寺駅から東海バス堂ヶ島方面行きで40分、松崎下車、東海バス八木山行きに乗り換えて9分、重文岩科学校下車、徒歩1分 |
ドライブで | 東名高速道路沼津ICから約82km |
駐車場 | 30台/無料 |
問い合わせ | 重要文化財岩科学校 TEL:0558-42-2675 |
掲載の内容は取材時のものです。最新の情報をご確認の上、おでかけ下さい。 |