『天城越え』歌碑

『天城越え』歌碑

石川さゆりが昭和61年7月21日にリリース、第28回日本レコード大賞・金賞受賞曲が『天城越え』(作詞:吉岡治、作曲:弦哲也、編曲:桜庭伸幸)。中森明菜、石原詢子らにもカバーされ、今も歌い継がれる名曲です。その歌碑があるのが、静岡県伊豆市の浄蓮の滝。歌詞に登場するのは浄蓮の滝、旧天城トンネル、そして寒天橋の3ヶ所です。

天城湯ヶ島温泉の「白壁荘」で誕生した昭和61年発売の名曲

『天城越え』歌碑
『天城越え』歌碑

カラオケブームに背を向けて、「歌唱力のある石川さゆりにしか歌えない、難易度の高い作品」ということで、誕生した名曲。なんと制作された場所も天城湯ヶ島温泉(現・伊豆市)の「白壁荘」。
吉岡治、弦哲也、桜庭伸幸の3人が「白壁荘」に泊まって、この名曲を生み出したのです。
その後、『津軽海峡・冬景色』とともに石川さゆりの紅白歌合戦で歌う代表曲となっています。

歌碑があるのは「九十九折り 浄蓮の滝」と1番の歌詞に出てくる浄蓮の滝の展望地。
とすれば「寝乱れて 隠れ宿」というのは、「白壁荘」あたりを意識してと推測できます。

3番には「風の群れ 天城隧道」と旧天城トンネル(正式名は天城隧道ではなく、天城山隧道ですが)も登場しています。

2番の歌詞には、「小夜時雨 寒天橋」という歌詞もありますが、この寒天橋も旧天城トンネルから河津町へ下る途中、河津川の本流に架かっています。
川端康成原作、昭和11年公開の映画『有りがたうさん』(主演:上原謙)にも登場する橋で、明治8年に完成した仁田常種経営の寒天製造工場に由来する名前で寒天橋というバス停もあります。
東京・上野公園で開催された第1回(明治10年)と2回(明治14年)の『内国勧業博覧会』には、天城の寒天が出品され褒状を受けていますが、明治初年の寒天生産は対清貿易の重要な輸出品にしようとする明治政府の殖産興業が背景にはあったのです。

この寒天工場の話を元に、2番の「小夜時雨 寒天橋」の歌詞ができたならば、石川セリ『八月の濡れた砂』、大川栄策『さざんかの宿』、千賀かほる『真夜中のギター』、瀬川瑛子『命くれない』など数多くのヒット曲を作詞した吉岡治の取材力に、脱帽です。

 

『天城越え』歌碑
名称 『天城越え』歌碑/『あまぎごえ』かひ
所在地 静岡県伊豆市湯ヶ島
関連HP 伊豆市公式ホームページ
電車・バスで 伊豆箱根鉄道修善寺駅から東海バス河津方面行きで33分、浄蓮の滝下車、徒歩5分
ドライブで 修善寺道路熊坂ICから約16km
駐車場 100台/無料
問い合わせ 伊豆市観光協会天城支部 TEL:0558-85-1056
掲載の内容は取材時のものです、最新の情報をご確認の上、おでかけ下さい。
旧天城トンネルの正式名は天城山隧道。国道の新天城トンネルと区別するため「旧天城トンネル」と呼ばれています。平成13年にトンネルとしては初めて国の重要文化財に指定された伊豆・天城山中にある隧道(トンネル)です。当時のお金で10万3000円を投入し、12人の犠牲者を出して明治37年に完成。伊豆半島ジオパークのジオサイトにもなっています。 日本初の重要文化財になった石造道路トンネル 嘉永7年3月3日(1854年3月31日)に締結された日米和親条約により、南伊豆・下田港は箱館(函館)港と並び、日本で最初に開港された港となりました。 下田港の開港後、天城峠を越える下田街道は東海道・三島宿と下田港を結ぶ重要なルートとなっていました。 大仁(おおひと)の吉田石を使い、切り石で組まれた全長445.5mの隧道(旧天城トンネル)は、石造道路トンネルとしては、日本最長。 平成13年に道路トンネルとしては初めて国の重要文化財に指定されています。 川端康成『伊豆の踊子』は、19歳の時の実体験がベース [su_row] [su_column size="1/2"][/su_column] [su_column size="1/2"][/su_column] [/su_row] 一高入学の翌年、19歳の川端康成が旅芸人の一行とこの天城山隧道(旧天城トンネル)を抜けたのは大正7年11月のこと。 10月30日に旧制第一高校寄宿舎を出発、翌日は修善寺温泉に泊まり、11月1日・2日に湯ヶ島温泉「湯本館」泊。 徒歩で天城山隧道(旧天城トンネル)を越え、途中、旅芸人一座と道連れになります。 「踊子歩道」の名でハイキングコースとして整備されている道は、川端康成の小説『伊豆の踊子』で、踊り子一行が歩いた旧下田街道を含む道。 『伊豆の踊子』では、主人公は一高の学生で20歳。つまりは川端康成自身だったのです。 幼い踊子・加藤たみ(松沢たみという説もある)と出会い、一座を率いる時田かほる(踊子の兄)旅の後も文通がありました(川端康成が『伊豆の踊子』を雑誌『文藝時代』に掲載したのは、旅の7年後、大正15年1月号)。 小説の舞台、浄蓮の滝から二階滝までを歩くプランなら、10.2km、3時間5分と手頃。 コースのハイライトはこの旧天城トンネル。 小説のなかで、「道がつづら折になって、いよいよ天城峠に近づいたと思うころ」と書き出された部分で、当時の面影がそのままに残されています。 車利用なら帰路はバスで浄蓮の滝に戻ることも可能です。 旧天城トンネルを含む旧道は天城路として「日本の道100選」にも選定。 [su_box title=" 映画『伊豆の踊子』ロケ地" box_color="#252108"] 映画『有りがたうさん』(昭和11年・上原謙主演)ロケ地。 映画『伊豆の踊子』は、田中絹代・大日方傳(昭和8年/松竹)、美空ひばり・石濱朗(昭和29年・松竹)、鰐淵晴子・津川雅彦(昭和35年・松竹)、吉永小百合・高橋英樹(昭和38年・日活)、内藤洋子・黒沢年男(昭和42年・東宝)、山口百恵・三浦友和(昭和49年・東宝)とこれまで6回制作されています。 [/su_box] 《幸江さんに伝言》 浄蓮の滝と相互リンクをお願いします

旧天城トンネル

2018.07.01
浄蓮の滝

浄蓮の滝

2018.07.01

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