静岡県裾野市、裾野市中央公園内にある落差12mの滝が五竜の滝(国土地理院地形図:五竜ノ滝)。水量豊富な狩野川水系黄瀬川に懸かる滝で、5筋になって落ちるのがその名の由来。各筋は、それぞれ雪解、富士見、月見、銚子、狭衣と名付けられ、さらに左側の3筋の滝を雄滝、右側の2筋を雌滝と呼び習わしています。
明治・大正時代には「佐野瀑園」があった地
富士山から流出した三島溶岩流(玄武岩溶岩流)の末端に位置し、新田次郎の小説『蒼氷』にも登場する美しい滝。
明治22年、ベルツ博士が五竜の滝を訪れ、「殊(こと)に脚気(かっけ=ベリベリー病)転養の地に適す」としたため、保養地としても注目された歴史があります。
明治22年の東海道線佐野駅開業(現・御殿場線裾野駅)に合わせ、翌明治23年には、「五龍館佐野ホテル」を開業し、五竜の滝周辺に橋や東屋などを整備し、「東海偉観 佐野瀑園」としてPR。
大正天皇(明治26年)、昭和天皇(大正11年)も皇太子時代にこの地を訪れています。
若山牧水も足繁く佐野瀑園に通い、「五龍館佐野ホテル」に逗留。
歌集『野なかの瀧』、『渓間の春』、『麦の秋』を創作しています。
昭和9年、丹那トンネルの開通で、東海道線が御殿場回り(現・御殿場線)から熱海ルートに変更され、保養地としての性格が薄れ、「五龍館佐野ホテル」も廃業しています。
佐野瀑園を前身とする裾野市中央公園内には国の重要文化財に指定される植松家住宅、滝を眺める吊り橋「五竜のかけはし」、太鼓橋、若山牧水の歌碑(「富士が嶺や 裾野に来たりて 仰ぐとき いよいよ親しき やまにぞありける」)などがあります。
また4月末からゴールデンウィーク最終日まで、滝壺周辺にこいのぼり掲場も実施。
五竜の滝 | |
名称 | 五竜の滝/ごりゅうのたき |
所在地 | 静岡県裾野市千福 |
関連HP | 裾野市公式ホームページ |
電車・バスで | JR裾野駅から徒歩25分 |
ドライブで | 東名高速道路裾野ICから約5km |
駐車場 | 中央公園駐車場(60台/無料) |
問い合わせ | 中央公園事務室 TEL:055-992-5785 |
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