静岡県沼津市の狩野川に架かる美しい橋が御成橋(おなりばし)。明治9年に架橋された湊橋が前身という歴史ある橋で、明治45年、沼津御用邸(明治26年完成)に向かう皇族が通る橋として鉄橋の初代・御成橋が架橋。現在のタイドアーチ橋は、昭和12年架橋の2代目で、土木学会の土木遺産にも認定されています。
沼津のランドマークになっている橋
昭和初期に沼津市街から伊豆各地の観光地に向かうためのシンボルブリッジとして架けられた橋で、沼津のランドマーク。
静岡県道139号(原木沼津線)・御成橋通りとして市街地を東西に横断するルートになっています。
橋長130.34m(中央支間72m)、幅員15.6mの鋼橋で、鶴見製鉄造船の製作、浅野造船所の架橋。
第二次世界大戦時(昭和20年4月11日)に、沼津市は空爆を受け、橋の西北端に落ちた爆弾により欄干が十数も吹き飛ばされましたが、骨格は無事だったため今も現役です。
欄干の数ヶ所の凹みがありますが、これはその時の空襲痕。
井上靖の自伝的小説『夏草冬濤』に登場の御成橋
大正11年から旧制沼津中学で学んだ井上靖の自伝的小説『夏草冬濤』。
「御成橋の上から見る眺めも、いかにも都会の川といった感じで、橋付近の両岸は人家や倉庫で埋められている。その人家や倉庫の列が切れると、上流の方は青草に覆われた堤になり、川筋はゆるやかに大きく身をくねらせて視野から消えている。そして下流の方は少しずつ川幅を広くし、河口らしい貫禄を示して来る。
しかし、洪作が狩野川を日本で有数の美しい川であると信じているのは、この沼津の街中を流れている狩野川のゆったりとした姿態の美しさのためではなかった。御成橋の上に立って、上流の方に目を遣る時、洪作はいつも天城山に源を発している狩野川という川の、その長い一本の川筋が目に浮かんで来るからであった」(『夏草冬濤』)
ただし、洪作少年が見た御成橋は、初代の御成橋ということに。
沼津市魚町には文学碑が立っています。
御成橋 | |
名称 | 御成橋/おなりばし |
所在地 | 静岡県沼津市上土町・魚町・市場町 |
関連HP | 沼津市公式ホームページ |
電車・バスで | JR沼津駅から徒歩10分 |
ドライブで | 東名高速道路沼津ICから約7km |
問い合わせ | 沼津市産業振興部観光戦略課 TEL:055-934-4747/FAX:055-933-1412 |
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