静岡県浜松市北区細江町、奥浜名に建つ黄檗宗(おうばくしゅう)の寺が、初山宝林寺(しょさんほうりんじ)。黄檗宗開祖・隠元とともに来日した明国の僧・独湛性瑩(どくたんしょうけい)が金指近藤家2代で、旗本・近藤貞用(こんどうさだもち)の尊崇を得て、寛文4年(1664年)、近藤家の菩提寺として開創。
湖北五山の一山で黄檗宗の名刹
黄檗宗が日本に伝わり、総本山として宇治に黄檗山萬福寺(おうばくさんまんぷくじ)が建立され、国内で一番最初に創建された末寺がこの初山宝林寺です。
お経も中国語という黄檗宗が浜名湖の湖北に最初に伝わったということに。
往時には20棟もの堂宇が建ち並んだ巨刹でしたが、明治維新で金指近藤家の庇護を失い、多くの堂を失っています。
現存する仏殿、方丈は黄檗宗が伝来した初期の中国明朝風様式を現代に伝える貴重な建物で国の重要文化財。
寛文7年(1667年)築の仏殿には本尊の釈迦如来像を安置。
堂内東西に二十四天善神像が祀られていますが、本山の萬福寺と同様に関羽の像もあることに注目を。
厨子には達磨大師と梁 (南朝)の武帝が祀られています。
「宝林禅寺」の扁額は隠元禅師の書。
方丈は、正徳6年(1716年)、住職の起居堂として建てらたものです。
元禄6年(1693年)築の山門は静岡県の重要文化財。
「初山」の扁額はやはり隠元禅師の書です。
独湛性瑩が中国から持参したという支那金鳴石初山永宝と彫り込まれた金鳴石は、叩くと不思議な音がすることが名の由来。
龍文様に願い事をして金鳴石を叩くとその願いが叶うと伝えられ、商売繁盛や宝くじ当選を祈る信者が多数で、「出世の町」をPRする浜松市らしいパワースポットです。
境内にはペット供養の静安堂もあり、ペットの葬儀も執り行なわれています。
毎月17日は龍文坊大権現のご縁日で、拝観料のみで祈祷してもらえます(4月の祈祷会は4月第2日曜の『龍文坊大祭』に実施)。
浜名湖の湖北五山の一山。
湖北五山は、方広寺・奥山半僧坊、龍潭寺(りょうたんじ)、大福寺、摩訶耶寺(まかやじ)と初山宝林寺。
旗本で鉄砲頭・近藤貞用(近藤登之助/旗本退屈男のモデルとも)は、中山道・板橋宿(現・東京都板橋区)に抱屋敷を有し、屋敷にあった榎(えのき)と槻(つき)が中山道から垣根越しに見え、榎が「えんの木」とも読まれることから「縁が尽きる」、転じて「縁切り」に結びつき、江戸時代には縁切榎として忌み嫌われるようになっています。
板橋宿では3代目の縁切榎が、近藤貞用の屋敷跡を今に伝えています。
初山宝林寺 | |
名称 | 初山宝林寺/しょさんほうりんじ |
所在地 | 静岡県浜松市北区細江町中川65-2 |
関連HP | 初山宝林寺公式ホームページ |
電車・バスで | JR浜松駅から遠州鉄道バス奥山・渋川・金指気賀行きで石岡下車、徒歩8分 |
ドライブで | 新東名高速道路浜松スマートICから約7km、東名高速道浜松西ICから約9km |
駐車場 | 40台/無料 |
問い合わせ | 初山宝林寺 TEL:053-542-1473 |
掲載の内容は取材時のものです。最新の情報をご確認の上、おでかけ下さい。 |