静岡県熱海市、熱海港近くの熱海後楽園ホテル近くから熱海ロープウェイで標高100mまで上り、さらに高台に建っているのが熱海城です。小田原(神奈川県小田原市)が北条氏の拠点だったため、その出城があったと誤解する人もいますが、たんなる観光施設としての城郭風建築物です。
日本の元祖テーマパークともいうべき存在

熱海城が完成したのは、まだ東海道新幹線も建設中という昭和34年。
東京オリンピックを契機に戦後の大発展を遂げた熱海の変革期、真っ只中でした。
建築様式は、意外にも史実を反映して桃山時代、慶長年間初期の様式にのっとり、外観5層、内部9階という城郭建築。
コンクリート造りですが、昭和32年の名古屋城天守に代表される戦後の鉄骨鉄筋コンクリート構造での外観復元天守の影響を強く受けています。
昭和34年には大垣城天守、昭和35年には小田原城天守もコンクリートで復興していますが、熱海城もその流れの中にあったことは容易に想像できます。
ひとつ、大きな違いは、もともとここには城がなかったという点。
熱海城によれば、「戦国時代の昔、関東・東海地方に威をふるった小田原北条氏歴代の名将たちも水軍の根拠地として築城を希望しながら果たし得なかったと伝えられています」という場所で、400年以上の時を隔ててその思いを実現したということに。
とはいえ、高度経済成長の走りの時代に、観光・熱海のシンボルタワー的な存在として誕生した城と考えるのが自然で、歴史的な背景はありません。
それでも最上階の6階は「パノラマ展望天守閣」で熱海随一ともいえる展望台に。
5階は、自由に衣装を着替えて記念撮影ができるという「江戸体験コーナー」、4階は「江戸のなぞ絵・遊び絵」コーナーなので、ファミリーでもそれなりに楽しめるテーマパークとなっています。
3階はなぜか「浮世絵・春画展」で18禁。
2階は日本各地の名城を再現したジオラマや模型などを展示する「日本城郭資料館」で、令和7年4月にリニューアルするなど、意外に力を入れた展示となっているのです。
熱海は近年「街ごとテーマパーク」などと化していますが、その走りといえば間違いなくこの熱海城です。
しかも「昭和レトロなエンタメ」ともいえるコンクリート造りの模擬天守。
極め付けは、屋根の上の鯱(しゃちほこ)で、コンクリート彫刻家で、名古屋を中心に東海地方に数多くの作品を残す浅野祥雲(あさのしょううん=『マツコ&有吉の怒り新党』でも話題の芸術家)の制作。
雄の高さは3m、雌の高さは2.9m、重量750kgで日本一巨大な鯱となっているのです。
よく見ると、瓦などもかなり手の込んだ本格派。
全国に乱立する復興天守よりも、むしろ立派な建物で、「まがい物」呼ばわりするのは、少し酷な感じです。

| 確実に誤解を生む! 「まさかの天守閣」熱海城 | |
| 名称 | 熱海城/あたみじょう |
| 所在地 | 静岡県熱海市曽我山1993 |
| 関連HP | 熱海城公式ホームページ |
| 電車・バスで | JR熱海駅から徒歩30分。または、JR熱海駅から東海バス熱海後楽園行きで10分、終点下車 |
| ドライブで | 西湘バイパス石橋ICから約20km。東名高速道路沼津ICから約32km |
| 駐車場 | 100台/有料 |
| 問い合わせ | 熱海城 TEL:0557-81-6206 |
| 掲載の内容は取材時のものです。最新の情報をご確認の上、おでかけ下さい。 | |






