静岡県は、遠江国(とおとうみのくに)、駿河国(するがのくに)、伊豆国(いずのくに)の3ヶ国から成り立っています。
このうち、奈良時代に聖武天皇の詔で諸国に建設された国分寺の場所が確定しているのが、遠江国分寺(磐田市)と伊豆国分寺(三島市)です。
多分、そうであろうと推定されているのが残りの駿河国分寺。
駿河国分寺は長年謎だった
駿河の府中が駿府(すんぷ)だということは、徳川家康が駿河城を築く遥か以前から。
現在の静岡県沼津市・御殿場市・裾野市・清水町・長泉町・小山町は、古代の珠流河国(するがのくに)。
現在の静岡市清水区を中心として、富士川と大井川に挟まれた範囲が廬原国(いおはらのくに)。
7世紀に2つのエリアが合体して、駿河国が生まれました。
そんな駿河国の駿河国分寺は長らく謎でした。
静岡市葵区長谷町付近や駿府城内東北部、そして静岡市駿河区大谷の片山廃寺跡などが候補に挙げられていました。
中世以降、駿河国分寺が駿府城北方に存在していたことが文献資料に記されていたことも、片山廃寺跡説否定の大きな理由になっていました。
ついに駿河国分寺が見つかった!?
そのなかで、一歩抜け出したのが片山廃寺跡。
片山廃寺跡という名は、静岡市駿河区大谷字片山という字名に由来。
つまりは、片山で発掘された古代寺院の跡というネーミングです。
昭和23年と昭和31年の調査で金堂(中心的建物、本尊を安置)、講堂(法要や教典の講議を行なう建物)、僧房(僧侶が居住する建物)跡が確認されていました。
ところが本来、国分寺にあるべき塔の跡が見つからなかったので、地方豪族の氏寺とする説もあったのです。
諸説入り交じる最中の平成21年、アパート建設に伴う調査で金堂跡の南西に塔跡と思われる遺構(南北16.5m)が発見され、国分寺の可能性が大いに高まったのです。
すぐ脇を東名高速道路が走り、遺跡の中央(ちょうど講堂の部分)を県道が横断するという残念な環境にありますが、金堂跡の基壇と礎石が復元され、史跡公園として保存されています。
寺跡の南、大谷街道沿いに500mほど歩いた場所には瓦を焼いた宮川瓦窯跡群が残されています。
駿河国分尼寺や国府はどこにある!?
さてさて、駿河国分寺だとほぼ確定した片山廃寺跡は、JR静岡駅の南東約3.5kmの有度山西麓に建てられました。
では国分寺とペアである駿河国分尼寺はどこにあるかといえば、まだ未発見です。
国府、つまりは行政の中心部もまだ見つかっていません。
駿府城東南地区から畿内産土師器・輸入陶磁器が出土していることから有力視されていますが遺構は確認されていないのです。
国司が国府に赴任したときに、真っ先に訪れたという総社(国内の神社に祀られるすべての神様を合祀した社)は、静岡浅間神社の一社である神部神社 (かんべじんじゃ) です。
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