源氏パイで有名な浜松市に本社を置く三立製菓。実は、この三立製菓、氷砂糖の製造メーカーとして明治時代に産声をあげ、大正13年にはビスケットの生産を開始したという洋風お菓子の老舗メーカー。歴史と伝統に裏付けされた源氏パイは昭和40年発売のロングセラー商品になっています。
源氏パイはなぜ「源氏」なの?
源氏パイはフランスの焼き菓子であるパルミエ(Palmier/椰子の葉の意、パイ生地に砂糖をかけてヤシの葉のかたちに焼き上げたシンプルな洋菓子、ドイツではSchweineohren=シュバイネオーレン/豚の耳パイ)を参考にしてつくったというハート形(パルミエということならヤシの葉形)のパイ。
発売は昭和40年といいますから半世紀以上愛されてきた、世界モンドセレクションでゴールドメダルを何度も受賞したロングセラー商品です。
発売元の三立製菓は、明治16年に日本で最初に氷砂糖を製造した会社で、大正13年に氷砂糖を使ったビスケットの製造を開始したのが菓子製造の始まり。
うなぎパイで有名な春華堂が戦後の昭和24年創業なので、三立製菓はかなりの老舗メーカーということがよくわかります。
昭和38年に日本で最初のパイの量産化に成功。
その製法を引っさげてパイ生地に砂糖を折り込んだ源氏パイが発売されたのです。
なぜ源氏パイなのかといえば、答えは簡単。
発売翌年の昭和41年のNHK大河ドラマが『源義経』(源義経=尾上菊之助、武蔵坊弁慶=緒形拳、静御前=藤純子、源頼朝=芥川比呂志)だったから。
そこから採ったというわけなのです。
もし発売が1年早ければ「太閤パイ」だったかもしれないのです(昭和40年のNHK大河ドラマは緒形拳主演の『太閤記』でした)。
発売当時は、この吉川英治原作の『太閤記』が大人気。
平均視聴率は31.2%、最高視聴率は39.7%を記録するほどだったのです。
「来年は『源義経』なら源氏パイだな・・・」と営業担当や幹部が考えたのは当然のことだったのでしょう。
大河ドラマの視聴率は、『太閤記』に負けていますが、「源氏パイ」は、国民的なロングセラー商品(大河菓子!)に発展します。
源氏パイがあるのなら、平家パイも?
洋酒漬けしたレーズンをトッピングした四角いパイ菓子が「レーズンパイ」。
これが平成24年に忽然と「平家パイ」に改称しています。
三立製菓の発売時点(平成24年春夏の新商品)での謳い文句は「芳醇なレーズンの味わいを楽しめるパイ」。
味わってみればわかるのですが、謳い文句通りのなかなかの味で、紅茶のお供(とも)にはピッタリの味わいです。
なぜ突然、「レーズンパイ」が「平家パイ」にと、メーカーの広報に尋ねたところ、
「平成24年の大河ドラマが『平清盛』だったからです」と単純明快。
実は、昭和47年の大河ドラマ『新・平家物語』放送時の発売を逸してしまってから、待ちに待った平清盛主人公の大河ドラマ放映だったというわけ。
しかしながら、目下、平家パイVS源氏パイの状況は、今のところ源氏優勢の状況・・・。
残念ながら源氏パイの陰に隠れてまだまだ「知られざる平家パイ」「知る人ぞ知る平家パイ」なのですが、味はかなりいいので、パイ好きなら一度は試してもらいたい商品です。
発売元の三立製菓、現在はうなぎパイ、源氏パイ、平家パイ、かにパンなどのほかに自衛隊の戦闘糧食に正式採用のカンパン、保存備蓄用の食料として重宝する保存用ビスケット、非常食セットなども製造。
最近では、静岡県限定発売(県外への通信販売の取扱いもありません)の「源氏パイ ピアノブラック」を売り出し中です。
浜松・静岡エリアに旅するならば、この「源氏パイ ピアノブラック」もお土産候補にぜひ。
残念ながら、まだ「家康パイ」は生まれていません。
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