田中城で食した「鯛の天ぷら」が家康の死因!?

徳川家康の死因は、定かでありません。
一般に流布しているのは「鯛の天ぷらを食べて死んだ」というもの。
鯛の天ぷらにあたったのでしょうか?
その鯛の天ぷらを食したといわれるのが、田中城(現・藤枝市)です。

周囲が湿地の田中城は鷹狩の基地に絶好だった!

徳川家康は、趣味と実益を兼ねて鷹狩によく出かけていました。
実益というのは、鷹狩に出れば、運動不足を補って健康になる、食欲が出てよく眠れる、民情視察になる、「人鷹一体」としての修行、そして軍事的な訓練にもなるからです。
家康の鷹狩は、山に出かけるのではなく、平地で。
良く出かけた先が駿府に近い田中城なのです。

田中城は、もともとは信玄が湿地を利用して同心円状に4重の堀を配したユニークな城(円郭式城郭)。
今では住宅地になっていますが江戸時代の田中城の周囲は湿地帯。
家康が鷹狩に出かけるときの最大の獲物だった田鶴など水鳥も多かったと推測できます。
残念ながら家康が滞在した田中城本丸は、西益津小学校の校舎が建っており、往時の名残はありません。
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家康は8度目の田中城滞在で腹痛を起こす

家康は下の表のように記録に残る限り8回、田中城を訪れています。

 年号 日時  田中城到着の記述
慶長13年(1608年)  1月24日  田中江御出(『当代記』)
 慶長15年(1610年)  1月9日  至田中(『当代記』)
 慶長16年(1611年)  1月7日  田中城迄出御(『当代記』)
 慶長16年(1611年)  12月21日   令赴田中給(『駿府記』)
 慶長17年(1612年)  1月7日  藤枝に一日逗留し給(『当代記』)
 慶長18年(1613年)  1月7日  田中へ出給(『当代記』)
 慶長19年(1614年)  10月11日  田中着御(『駿府記』)

7回目の慶長19年10月11日は、大坂夏の陣の時(10月23日に二条城入城)。
10月11日巳刻(午前10時)に駿府を出て、申刻(午後4時)に田中に着いていますが、なんと道中で鷹狩を楽しんでいるようです。

そして上記表に記載されていないのが「家康最後の鷹狩」です。
それが、元和2年(1616年)1月21日の鷹狩です。
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腹痛の原因は食べ過ぎ?

『徳川実録』によれば、鷹狩のため田中城に滞在中の家康を京の豪商・茶屋四郎次郎(ちゃやしろうじろう=3代目の茶屋清次)が訪問。
家康は信頼する茶屋四郎次郎に「昨今京で話題の話」を尋ねます。茶屋四郎次郎は、京で評判になっている新しい料理法として「鯛を榧(かや)の油で揚げ、その上に薤(おおにら、らっきょう)をすりかけて食べるのが美味いと評判に」と紹介します。

家康は久能城代・榊原照久からたまたま届けられていた鯛を調理するよう命じます。
家康は日頃の節制を忘れ大鯛2枚・甘鯛(興津鯛)3枚を食して腹痛にたいそう苦しみます。

榧の種子からとれる油は当時良質な食用油として大名などの調理に使われていました。
江戸時代初期の『料理物語』などの書物には天ぷら、衣揚げという料理法は見あたりません。
ちなみに天ぷらの初出は、寛文9年(1669年)『料理食道記』(「てんふら 小鳥たたきて鎌倉、えび、くるみ、くずたまり」)とされていますから、家康は鯛を素揚げしたものを食したのかもしれません。
ただし、戦国時代の南蛮料理に、鯛に小麦粉をまぶし、豚の油で揚げたものに、雁(がん)、雉(きじ)や小鳥の肉のたたきあんかけにした「テンフラリ」という料理があったので、この可能性も捨てられません。
作家・澁澤龍彦の大好物に「甘鯛のから揚げ」がありますが、このから揚げ説は候補筆頭ですが、鯛の南蛮漬け、あるいは鯛のつけ揚げ(すり身を揚げたもの)かもしれません。
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実は胃がんだったというのが真相

1月22日丑の刻(午前2時)、家康は腹痛に苦しみます。
侍医頭の片山宗哲が診察すると、腹中にしこりがあることも判明。
宗哲はこのしこりを癪(さしこみ)と診立てますが、家康は以前に寸白(すばく=真田虫による腹痛)を患ったことがあり、真田虫の固まりだと自己診断。
宗哲の調合した癪の薬は服用せず、寸白に効く自家製の万病円30粒と銀液丹20粒を飲みます。
そして田中城の御殿で3日間静養。

元和2年1月24四日に駿府へ戻るも、腹痛は治まらないので、さらに万病円を服用。
その後、家康の食欲はめっきり衰え、喀痰が増加。
元和2年(1616年)4月17日巳の刻(午前10時頃)に駿府城において没。

こうした病状の経過から近年では「天ぷらが原因で死んだ」とする研究者は皆無で、胃がんの末期的症状というのが現代的な「見立て」になっています。
その引き金になったのが、すこし浮かれて食べ過ぎた鯛料理だったというわけです。

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酒井正人(プレスマンユニオン理事)

ラジオ・テレビレジャー記者会会員/旅ソムリエ。 旅の手帖編集部を経て、まっぷるマガジン地域版の立ち上げ、編集。昭文社ガイドブックのシリーズ企画立案、編集を行なう。その後、ソフトバンクでウエブと連動の旅行雑誌等を制作、出版。愛知万博公式ガイドブックを制作。以降、旅のウエブ、宿泊サイトにコンテンツ提供、カーナビ、ポータルサイトなどマルチメディアの編集に移行。